笠山明神池/風穴/厳島神社

笠山のふもとにある明神池
明神池/風穴/厳島神社
海水魚が泳ぐ池と真夏の天然クーラー|萩市・笠山

明神池は、海水魚が生息する大小3つの池からなる海跡湖です。 周囲の溶岩の隙間を通じて海水が出入りし、その溶岩地形の中には真夏でも冷たい風が吹き出す「風穴」があります。 池の名の由来となった厳島神社では、毎年決まった日に萩市指定無形民俗文化財の「巫女の舞」が奉納されます。 池・神社・風穴を一緒に歩いて楽しめる、笠山のふもとの散策スポットです。

3つの見どころ

明神池は、笠山が本土と砂州でつながり陸繋島となった際、海の一部が埋め残されてできた海跡湖です。 明治初期ごろに南側の一部が埋め立てられた後も、溶岩の隙間を通じて外海とつながり、潮の干満に合わせて水面が上下してきました。 南東側から北西方向へ、大池・中の池・奥の池の3つが連なっています。

池には、漁民が奉納したことに始まるとされる海水魚が生息しています。 暖かい時期には、階段から水辺へ近づくとボラやイシダイが寄ってくることがあり、小さなフグやエイが見られることもあります。 冬は魚の動きが鈍く、海水が出入りする場所の近くに集まることがあります。 『萩市史 第三巻』では、近年はパイプを通して海水を行き来させていることや、海水性昆虫のシオアメンボが日本海側で唯一確認された産地であり、分布の北限に当たることが紹介されています。

池の東側にある溶岩流の高台には、かつて萩藩主の休息用の御茶屋が置かれ、池は「御茶屋の池」と呼ばれたこともありました。 大正時代以降、池畔の厳島神社にちなみ「明神池」と呼ばれるようになったとされています。 厳島神社は、萩藩2代藩主・毛利綱広の時代に、安芸の厳島神社を勧請して一社を建立したことに始まると伝えられます。

厳島神社では例年7月29日に、萩市指定無形民俗文化財「巫女の舞」が奉納されます。 舞は4人1組の巫女により、前半は横笛と太鼓に合わせて扇を持ち、後半は鉦が加わる中で鈴と扇を手に演じられます。 翌30日には神輿が地域を巡る行事が行われ、祭礼の時期には明神池の柵や神社の参道に色鮮やかな大漁旗が並びます。 祭礼は地域の大切な行事のため、見学や撮影の際は関係者の妨げにならないよう配慮しましょう。

風穴の冷気は、笠山をつくる溶岩地形と深く関係しています。 笠山は上下2層の溶岩による台地の上にスコリア丘が重なった火山で、溶岩流の末端部には岩塊が重なる場所が多く見られます。 風穴周辺でも、おおむね1m以下の岩塊の間に数十cmほどの隙間があり、そこを空気が通ります。 笠山一帯にはこのような風穴が数多くあり、厳島神社の裏手にある風穴は、その中でも最大規模とされています。 笠山の火山地形については、笠山山頂の観光名所ページでも詳しく紹介しています。

冬になると、冷たく重い外気が溶岩の隙間へ流れ込み、岩の内部に蓄えられます。 夏には、外の暖かい空気との温度差によって内部の冷気が低い場所へ流れ、風穴から約15℃の冷たい風となって吹き出します。 実際に外気温が30℃を超える日に訪れた際、風穴付近では15.7℃・湿度85%を記録しました。 厳島神社の鳥居付近から涼しさを感じ始め、風穴へ進むと、まるで冷気の幕をくぐったように空気が一変します。 真夏だからこそ驚きが際立つ、個人的には笠山一帯で最もおすすめしたい場所です。

明神池周辺にはトンビが多く、魚用のパンを空へ投げると集まってくることがあります。 鳥のふんや、爪による車体への傷を避けるため、トンビへの餌やりや車の近くからパンを投げる行為は控えましょう。 また、風穴周辺は真夏でも涼しい一方、森に囲まれて蚊がいるため、虫よけ対策があると安心です。

写真紹介

1. 海水魚
明神池を泳ぐ海水魚
明神池ではボラやイシダイが特に目立ち、小さなフグやエイを見かけることもあります。冬は魚の動きが鈍くなります。池での釣りは禁止です。
2. 厳島神社
大漁旗が並ぶ祭礼の日の厳島神社
祭礼の日には、鳥居から社殿へ続く参道の両側に色とりどりの大漁旗が並びます。普段の静かな境内とは異なる、見応えのある景観です。
3. 風穴
厳島神社の裏手にある笠山風穴
真夏でも約15℃の冷気が吹き出す風穴。近づくほど涼しくなり、ある地点を境に空気が一気に変わるのが分かります。夏は虫よけがあると安心です。

アクセスと周辺マップ

萩市街からは国道191号を阿武方面へ進み、道の駅 萩しーまーとを通過します。 海岸線を走り、「左・笠山」の道路標識を目印に、陸橋付近の信号を左折してください。 阿武方面からは国道191号を萩市街方向へ進み、同じ陸橋付近の信号を右折します。

笠山方面へ進むと、左手に無料の市営駐車場があります。 さらに直進し、道なりに右へ緩やかにカーブすると、明神池に隣接する有料駐車場に到着します。 市営駐車場から明神池までは徒歩約5分のため、周辺をゆっくり散策する場合はこちらを利用する方法もあります。

明神池からは、対岸に見える鳥居を目印に池沿いを厳島神社方面へ歩きます。 駐車場から厳島神社までは徒歩約2分、神社右側の案内に沿って進むと風穴まで約1分です。 風穴へ向かう道は普通の靴で歩けますが、神社付近に短い石段があります。

  • 車(萩市街方面から):国道191号 → 陸橋付近の「左・笠山」表示を左折
  • 車(阿武方面から):国道191号 → 同じ陸橋付近の信号を右折
  • 有料駐車場:明神池前・1時間200円(自動精算)
  • 無料駐車場:市営駐車場から明神池まで徒歩約5分
  • 散策時間:明神池・厳島神社・風穴を合わせて20~30分程度

※ 駐車料金や祭礼の日程は変更される場合があります。訪問前に最新情報をご確認ください。