2019年3月 宮崎県高千穂峰③-山頂-

旅行記

頂上についたのはいいが、霧が濃すぎてはっきりと逆鉾が撮れない。

理想としては、逆鉾と眼下の風景をセットで撮りたかったのだが、霧のせいで全く見えない。しかも、やたら寒い。冷たい風が容赦なく顔面を襲い、ギューッと眉間に皺を寄せたように勝手に力が入る。

このままじゃ死ぬ

本気で身の危険を感じた私は、事前情報で知っていた山小屋を探した。

濃い霧と、暴風を体に受けながら山頂を散策すると発見。山小屋と言うよりは倉庫みたいな建物だった。利用する際には小屋の維持費として500円払わなければならないらしい。重い扉を開けて入ると、朝日を見に来たらしい先客がいた。

小屋内の写真の、時計の下に利用料を入れるBOXがあったので支払おうとすると、小銭が無かった。先に来ていた方々に両替をお願いすると『凄い!真面目ですね~!』と褒められた。後に大学生らしき登山客もきていたが、彼らも支払っていなかったので、私は本当に真面目な部類らしい。

けぇ
けぇ

真面目と言うよりチキンな(略

山小屋でしばらく霧が晴れるのを待つが、中々晴れない。時折外に出たりもしてみるが、やはり寒い。確か気温は-4℃だった気がする。氷水を顔面にかけ続けているみたいな感じだった。

先に来ていた登山客は帰り、私一人で霧が晴れるのを待ち続ける。ネックウォーマーを顔面まで引き上げてようやく暖かくなり、ウトウトしていると先に書いた大学生?達が小屋に来た。一時間程ウトウトしていたらしく、小屋の屋根のガラスをみると青空が映えていた。チャンスを逃すまいと急いで小屋を出る。

霊峰:高千穂峰-天の逆鉾-

ようやくとらえた天の逆鉾坂本竜馬夫妻が新婚旅行で抜いたとされる伝説の武器、のレプリカ(いつかの噴火で本物は壊れたらしい)。持ち手の部分には天狗の顔が刻まれている。ドンとたたずむその姿に、思わず息をするのを忘れてしまうくらい魅入る

残念ながら、眼下の景色は霧が濃かったのでセットでは撮れなかった。ただ、多少は霧の切れ目が見えるようになっており、合間合間で御鉢が顔を覗かせて、続々と登山客が登ってくるのが見えた。

しばらく寒さも忘れてそれを眺める。

息を切らしながら斜面にもたれたり

1分間の脈が140回を超え、あまりにキツ過ぎて鼻で笑ったり

独り言で何度も大丈夫と呟いた

そんな道中を思い出しながら、歩いてきた道を見下ろす。山小屋を除いて、山頂に一人きり。人生の縮図を眺めるような気持ちになり、つらい事を思い出して思わず涙が出そうになったところで

『さて・・・』

と、認識する限り最後の独り言を呟いて下山した。これを気に登山に目覚める、なんてことはサラサラないが、この山にならまた登っても良いかなと思えた。

ちなみに登山時間は1時間30分で、下山は1時間。写真を撮りながらなので、それを考えると満足なタイムである。まぁ、それが休憩でもあったのだけど。